重症睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の49%はメタボリックシンドローム
気をつけよう睡眠時無呼吸症候群 2. メタボ
メタボリックシンドロームとOSAS
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)では、睡眠中に頻回に繰り返される無呼吸による低酸素や脳の覚醒反応、また胸腔内の過度の陰圧などにより交感神経系が刺激され、心拍数の増加や血圧上昇をひきおこします。これらの長年の影響が高血圧、高脂血症、糖尿病などの動脈硬化性疾患の原因となることが指摘されています。
近年、糖尿病とOSASの密接な関連がわかってきたこともあり、2008年6月国際糖尿病連合は、『2型糖尿病患者に対してはOSASのスクリーニングを、OSAS患者に対しては糖尿病およびメタボリック症候群のスクリーニングをすべきである』と勧告しています。
OSAS患者に多い中心性肥満と、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の4因子が集積した状態はメタボリック症候群として動脈硬化性疾患の重要で危険な病態とされていますが、OSASにはメタボリック症候群が高率に合併していることがわかってきました。
当院の重症OSAS患者508人の集計では、BMI≧25の肥満は71.8%に、中等度以上の高血圧(160/100mmHg)は38.0%に、高脂血症は65.9%に、糖代謝異常は48.6%に認め、メタボリック症候群と指摘できるのは49.0%を占めていました。
OSASに対するCPAP治療(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、糖代謝や脂質代謝の異常を改善するだけでなく、血圧コントロールの改善も期待できます。またCPAP治療にあわせて運動・食事・睡眠などの生活習慣を改善し、減量を行うことはメタボリック症候群に効果があるだけでなくOSASに対しても改善効果が期待できます。
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