睡眠時間の理想と現実。
日本人は睡眠に満足していない
睡眠に関する調査 2024
推奨される睡眠時間は6時間以上。日本人の睡眠実態は?
世界の他の国と比べて日本人の睡眠時間が短いということはもはや周知の事実。では、何時間寝たら良いのか。厚生労働省がまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、65歳以上の高齢者を除く成人に推奨する睡眠時間は6時間以上とされています。
実際はどうなのでしょうか?私たち日本人は、本当に6時間以上の睡眠が確保できているのでしょうか?
フィリップスでは、日本人の睡眠実態を明らかにすることを目的として、2024年8月2〜10日にかけて全国2,277人の方にインターネット上で「睡眠に関する調査2024」を実施しました。今回は、その結果から睡眠時間や睡眠への満足度、悩みについて、ご紹介します。
睡眠時間6時間以上は全体の65.7%。厚労省推奨の時間自体は確保されている
全体で見てみると、睡眠時間が6時間以上あると答えた人は合計で65.7%。それでは、高齢者を除くとどうなるでしょう。20代から50代で6時間以上と答えた人は、合計で64.2%という結果となり、あまり大きな差は出ませんでした。
日本人全体で見ると、厚労省が推奨する睡眠時間は取れているように見えます。
しかし、性別、年代別で見ていくと、少し様子が変わって来ます。男女ともに、50代になると5時間と回答する人が急激に増える傾向が見られます。これはおそらく、ホルモンバランスの変化が影響しているものと推察されます。
逆に、30代、40代では5時間以下の回答は少なく、30代女性においては約19%と、睡眠時間自体は確保できている結果となりました。
理想の睡眠時間は7時間以上。推奨される時間との乖離が見られた
意外にも睡眠時間は確保できていることから、そこだけを見ると問題がないと誤解をしてしまいそうです。しかし、アンケートからは、そうとは言えない実情が見えて来ました。
充分な時間眠れているか?という質問には、全体の78%が「充分な時間眠れていない」と回答。
そして、理想の睡眠時間を聞いたところ、7時間がもっとも多く約47%、次いで8時間以上が約43%となっています。このことから、厚労省が推奨する時間というのはあくまでそれ以上を確保すべきであるという目安であり、実際にはそれ以上の睡眠時間を必要としている人が大多数であるということが言えるでしょう。
83%が睡眠に満足できていないと回答。日本人は睡眠への満足度に問題を抱えている
次に、睡眠の質について見て行きます。
睡眠の満足度について聞いたところ、睡眠に不満を持っている人は62%、「どちらとも言えない」と回答した人を合わせると、実に83%の人が睡眠に満足できていないという結果が出て来ました。
男女別のデータでは、女性の方が睡眠に不満を抱えている人が6ポイント高くなっています。さらに年代別に分けると、より性差が見えて来ました。
女性は20代から60代まで、ずっと睡眠に不満を抱えがち
女性は20代から60代までの年代で60%以上の人が睡眠に不満を持っているのに対し、男性は60代になるとその割合が減っています。また、女性では50代が、男性では40代がもっとも多く不満と答えています。
これらから、女性にとっては更年期障害が、男性にとっては仕事でのストレスが睡眠に大きな影響を与えているのではないかと推察されます。
女性の場合、60代も68%近い人が睡眠に不満を抱えているわけですが、これには下記のような理由が考えられます。
- ホルモンの変化
閉経によりエストロゲンなどが大きく減少するため、それまでとは身体的にさまざまな大きな変化を感じる
- 加齢の影響
加齢による体内時計や睡眠サイクルの変化。男性より女性の方が中途覚醒や睡眠深度の浅さが報告されている*1
- 睡眠時無呼吸症候群
女性は閉経により睡眠時無呼吸症候群に(閉経前と比較して)罹患しやすくなる
睡眠の満足度に関しては、もしかすると男性よりも女性の方が敏感なのかもしれません。
睡眠への悩みは68%が抱えている。「中途覚醒」や「睡眠時間」に悩みを持つ人が多い
多くの人が睡眠に不満を持っていることが分かりましたが、実際にどのような悩みを持っているのでしょう。
まず、睡眠に悩みがあると答えた人は、全体の68%。3人に2人以上が悩みを抱えていることになります。男女別で見ると、女性の方が「悩みがある」と答えた割合が圧倒的に多い結果になっています。
性別、年代別で見ると、まず男性と女性で悩みがあると答えた人の割合が大きく異なることが分かります。女性はもっとも少ない60代でも70%以上の人が「悩みがある」と答えているのです。これまでの研究からも女性の方が不眠症や悪夢に悩まされやすいという報告があるのですが、その理由としては月経に関わるホルモン変化が関連しているとされています。*2
悩みの代表的な理由は、男女、年代にあまり関係なく「中途覚醒」と「睡眠時間」に関するものがもっとも多く、そのほかには「熟睡感」や「寝つき」、「目覚め」、「夜中のトイレ」などが挙げられていました。
睡眠の悩みに対する対処法は、無呼吸ラボでもご紹介しています。ぜひ、チェックしてみてください。
ねむりのコラム
フィリップス「睡眠に関する調査2024」
期間:2024年8月2〜10日
方式:インターネット
回答数:2,277人
*1 降籏隆二ら. 一般成人における不眠症状と性差について.女性心身医学. 2014, 19 (1), 103-109.
*2 DARYL AUSTIN. "女性の方が睡眠不足になりやすい、仕事や勉強に及ぼす悪影響とは". ナショナルジオグラフィック. 2023. https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/092900506/, (参照 2024-10-27).
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