重症睡眠時無呼吸症候群患者が交通事故を起こす確率は一般ドライバーの2.5倍
気をつけよう睡眠時無呼吸症候群 3. 交通事故・労働災害
SASに伴う交通事故・労働災害
2003年2月26日JR山陽新幹線で運転士が居眠りをしたまま、新幹線が時速270kmで走り続け岡山駅で緊急停止する事故があったことをご記憶の方も多いかと思います。この居眠りの原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)であることが分かり、この病気の存在が広く一般の人々に知られるようになりました。
SASという病気の本質は高血圧、脳卒中、突然死などを来たし心・血管系の合併症により命にかかわる病気であるということです。しかしこの新幹線の事故をきっかけに、この病気は本人の健康問題だけにとどまらず、交通事故や労働災害などの社会的問題を引き起こす点が注目されるようになりました。
SASの人が交通事故を起こす頻度はSASのない人の約7倍、一般ドライバーの約2.5倍といわれ(*1)、またSASが重症になればなるほど事故率が高くなることが報告されています。
しかし重要なことはSASを適切に治療することにより事故を起こす確率が改善し健常者と変わらなくなると言うことです。重大な事故から本人と社会全体を守るためにもSASを早期に診断し適切に治療することが望まれます。
- (*1)Am Rev Respir Dis 1988;138:337-340より改変
関連リンク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは