「ただのいびき」と思っていませんか?
野々村友紀子さんと一緒に学ぶ
睡眠時無呼吸症候群(SASサス

新潟開催:睡眠時無呼吸症候群イベントレポート

2025年9月7日(日)に、新潟市民プラザで開催された「SASサスを知って、健康をSASサスティナブル!」。ゲストに放送作家の野々村友紀子さんをお招きし、400名を超える聴講者の前で、新潟大学の3名の教授陣とトークショー形式でイベントが開催されました。

多くの人が「ただのいびき」と見過ごしがちな睡眠時無呼吸症候群(SASサス)ですが、そのリスクや社会的影響を専門家の視点から解説いただきましたので、イベントの様子をダイジェスト版でお届けします。

イベント出演者集合写真

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の正体・睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすい人

野々村さん:「夫もたまに寝ている間に息が止まってます!ガーガーガッていって息が止まるあれですか!?」

菊地利明先生(呼吸器内科):寝ている間に気道が狭くなり呼吸が止まる「閉塞性タイプ」が日本人に多いです。
夜間に十秒以上呼吸が止まるのが特徴で、1時間に10秒間以上呼吸が止まっている回数が5回以上だと睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。7時間の睡眠で30回以上呼吸が止まることになるので、体には当然負担がかかり、昼間に強い眠気が出るだけでなく、動脈硬化や血圧が高くなるなどの問題が出てきます。
典型的なのは40代、50代の男性ですが、肥満の方や、高齢者や、閉経後の女性なども罹患します。東アジアの人は特にリスクが高く、日本人の場合顎の小ささも影響します。
推計で2,200万人が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を持ち、治療が必要なのは約900万人。しかし実際に治療を受けているのはわずか60万人に過ぎず、放置が多い現状が明らかとなりました。治療をしないで放置すると、最終的には命に関わることもありますし、交通事故のリスクなども増加します。

生活習慣病との関連

「夫は高血圧で薬をのんでいます。SASって怖いんですね」

猪又孝元先生(循環器内科):睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧・糖尿病などの生活習慣病を悪化させる要因です。
生活習慣病はなぜ怖いかというと、それは心臓と血管の病気が増えるからです。睡眠時無呼吸症候群(SAS)で呼吸が止まるたびに、木の幹が少しずつ削られていくイメージ。そのうち木はぽきんと折れてしまいます。
高血圧患者は睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併することも多いので、3剤以上高血圧の薬を飲まれている方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を勧めています。また、夜間頻尿の方も、SASが隠れている場合が多いです。

お子さんの睡眠時無呼吸症候群(SAS)にも注意

「お子さんのいびきや口ぽかんには、病気が隠れているかもしれないとは思ってもみませんでした。親は気が付いてあげたいですよね。」

堀井新先生(耳鼻咽喉科):お子さんの睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、扁桃腺や、鼻の奥にあるアデノイドの肥大が原因で、呼吸がしにくくなるのが特徴です。
普通は空気を吸うと胸が膨らむのが、逆にへこむ「陥没呼吸」がみられるため、親がお子さんの寝姿を動画で記録して医師に見せるなど、周囲の気付きが早期発見につながります。
夜間のおねしょや、口をぽかんと開けていたり、学校での集中力低下や学習成績の低下などの症状が現れるのも特徴です。小学校の中学年ぐらいまでが小児睡眠時無呼吸症候群(SAS)のピークで、その後は体の成長とともに扁桃腺やアデノイドは小さくなっていくので、症状は次第に改善していきます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査

「簡易検査、めっちゃ簡単でした!」「夫はいびきはあるものの、寝られているから大丈夫かと思っていました。」

今回のイベントを機に、事前にご自宅で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の簡易検査を受けられた野々村さん。
「自宅に小さい検査キットが家に届くので、それを指につけて寝た後、翌日送り返すだけでOK でした。つけた違和感もなくぐうぐうねられました。」と、その簡単さに驚かれていました。
野々村さん自身は検査の結果、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではありませんでしたが、同じく簡易検査を行った旦那さんのほうは、簡易検査の結果SASの疑いがあるとのことで、先生より精密検査を進められていました。

イベント出演者集合写真

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法

「CPAPってよく聞きますが、もっと器械が大きいのかと思っていました!こんなに小さいのですね。」
「CPAPをやりだした芸能人、最近とても多いんですが、頭が回るようになって日中のパフォーマンスが上がったり、寝起きのすっきり感が全然違うなど、今までの睡眠との違いを実感していると聞くので、すごく興味があります。CPAP付けたら夫も売れるかな、と思ったり(笑)」

菊地先生:中等症以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されると、治療の中心は鼻マスクから空気を送って気道を広げるCPAP(シーパップ)療法になります。機器は小型化し、マスクも選べるなど使いやすさが向上しています。
軽症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、マウスピースも効果的です。CPAPでも効果が期待できないような重症患者さんの場合は、舌下神経刺激療法という手術を伴う治療も行われ始めました。

堀井先生:お子さんの睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合は、原因がアデノイドや口蓋扁桃の肥大であれば、手術で根本的な改善が見込めますので、全身麻酔下で1時間かからない手術を行うことで、いびきなどの症状を改善します。

最後にみなさんから一言

菊地先生:SASが心配な方は、まずは簡易検査をうけてみてください。
堀井先生:子どもの場合は、親がいびきや昼間の眠気などに気付いてあげることが大切です。
猪俣先生:睡眠中に息が止まるたびに、木の幹が少しずつ削られていくイメージ。ましてや高血圧、心臓病がある方は幹が細いので、ぽきんと折れてしまいます。今は治療法があるので、治療による恩恵を受けてほしいです

野々村さん「SASが身近に感じましたし、いびきをかいている夫にやさしくしようと思いました。いびきは病気のサインなので早期発見できたらその後の人生大きく変わってくると思いますし、車の事故の発生率など社会問題にも関係ありますので、絶対に見つけて治療する必要があるんだな、ととても勉強になりました。」

(本イベントは、主催:株式会社テレビ新潟放送網・TeNY医療の広場、共催:株式会社フィリップス・ジャパン で開催されました)

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