「睡眠のサインを見逃すな!」
広島で考える眠りと命

広島開催:睡眠時無呼吸症候群イベントレポート

2025年9月20日、睡眠に隠された病気や治療法を知る市民公開講座
「睡眠のサインを見逃すな!~良い眠りと睡眠時無呼吸症候群とは?~」(フィリップス・ジャパン協賛)が開催され、約300人が参加しました。

プロ野球解説者 天谷宗一郎さん
写真提供:株式会社中国放送

イベントでは、睡眠の指導医による基調講演や、睡眠時無呼吸症候群と診断されたRCC野球解説者の天谷宗一郎さんが登壇するパネルディスカッションが行われました。

最初に、広島大学病院 睡眠医療センター 副センター長の熊谷医師が、質の良い眠りや睡眠時無呼吸症候群について、基調講演を行いました。

ー熊谷先生
「睡眠不足により、交通事故などのヒューマンエラーを引き起こす可能性が高まる。睡眠時無呼吸症候群があると、心血管疾患、糖尿病、交通事故などのリスクが2〜3倍になる。」

熊谷 元 医師(広島大学病院 睡眠医療センター 副センター長)
熊谷 元 医師(広島大学病院 睡眠医療センター 副センター長)
パネルディスカッションの様子

その後のパネルディスカッションでは、熊谷医師、広島ハートセンター広島心臓血管病院 中村真幸医師、天谷さんらが、「気になる睡眠Q&A」と題し、来場者からの事前質問に回答しました。

中村 真幸 医師(医療法人広島ハートセンター広島心臓血管病院)
中村 真幸 医師(医療法人広島ハートセンター広島心臓血管病院)
写真提供:株式会社中国放送

Q. 「睡眠時間の長さと質はどちらが大事ですか?休日に長く寝るのは、普段の睡眠の補充になりますか?」
A. 「最低6時間、できれば7時間。寝溜めでは寝不足解消できないが、しないよりは良い。携帯の充電と一緒で100%以上にならない。足りない分を補って欲しい。」

イベント中の会場の様子

Q. 「自分自身が無呼吸症候群かどうか確認するにはどうすればいいですか?また、治すにはどうすればいいでしょうか?」
A. 「スクリーニング検査で無呼吸症状が確認された場合は、心電図等の検査をした上で、シーパップ治療に進む。軽症であればマウスピース等で対処する。」

イベント中のステージの様子

Q. 「夜勤業務してるのですが、昼夜逆転は睡眠に悪いので しょうか?個人的には気持ちよく寝れてる気します。 どれくらいの睡眠が効率よいのか?また長い睡眠が確保 できない場合の対策はありますか?」
A. 「基本は人間は昼起きて夜寝る動物なので、そちらに合わせたい。昼は体温が上がって、深い眠りに入り辛く、夜と同じような質の睡眠が取り辛い。量でカバーするか、夜勤前に1時間仮眠をとる等で補って欲しい。」

Q. 「無呼吸症候群かどうか簡易検査を受けるなど、一連の検査を受けるには、どれくらい費用がかかるでしょうか?」
A. 「簡易検査だと保険の3割負担で3,000円から。精密検査が必要と判断されると、(1泊入院の検査で)15,000円程度かかる。個室は自己負担で、¥25,000〜¥30,000、シーパップは(月のレンタル料が)¥5,000程度。」

Q. 「歳をとると夜中に目が覚めることが増えてきたのですが 悪いことでしょうか。また目が覚めないようにするには、 どうしたらいいですか?」
A. 「歳をとって目が覚めるのは加齢現象で普通の事。気にし過ぎる必要はない。昼間しっかり活動しておく事が重要。子供はよく動いた日は、スイッチが切れて夜眠るのと一緒、それと同じようにする。」

CPAPを体験する天谷さん

Q. 「天谷さんが番組で使用していた治療器でどれくらい、いびきは改善してされるのでしょうか?治療の期間はどれくらいでしょうか?」
A. 「寝ているのでわからないが、妻からは「いびきかいてる」と言われる事がなくなった。色々な事情で器具をつけられない時は、「いびきをかいている」と言われる。1年弱でここまできた。」

Q. 「最近、家族から口を開けたまま寝ていると指摘される事が多いのですが、改善できるのでしょうか?朝起きたら、確かに口がすごく乾いているので気をつけたいのですが…」
A. 「口を開けて寝るのは、鼻の通りが悪いからなっている可能性がある。耳鼻科で治療する。口を開けて寝ると、口腔内が乾燥するので、風邪を引いたり、歯周病リスクが高まったりする。口テープがかっこ悪いという人もいるが、テープをする。首の力やベロの力が落ちないように、顎や舌の筋トレをする。」

天谷さんと中村医師

最後のパネルディスカッションのパートでは、「パートナーの眠りは大丈夫?~眠気はパフォーマンス低下を招く~」をテーマに、岩国医療センター 田中屋真智子医師が、パートナーがチェックする睡眠時無呼吸症候群のポイント等を紹介しました。

会場のスクリーンを見る登壇者

ー田中屋先生
「10秒以上止まる無呼吸が10分間に5回以上あれば重症の睡眠時無呼吸と診断されます。寝ている時、自分のことは自分では案外わからないものです。パートナーのいびきが気になったら寝室を分けて放置していても良いところを、心配して声をかけてくれたり、病院へ行った方が良いよ、と言ってくれるのは愛があるからですよ!」
田中屋先生から出た「パートナーからの指摘は愛です」や、「(重症の睡眠時無呼吸症候群を放置すると)10年後には30~40%が死亡する(という報告もあります)」といったメッセージが、会場の皆さんに強く響いた様子が見られました。

フリーアナウンサーの桑原しおりさんや、 天谷宗一郎さんと一緒に、睡眠とパフォーマンスの関係について、それぞれプロの視点から意見を交わしました。

ー桑原しおりさん
「睡眠時間が短いと、しゃべりのクオリティが明らかに下がる。特に、大事な仕事の時は、しっかり睡眠を確保するように意識する」

フリーアナウンサー 桑原しおりさん

質問コーナーでは、来場者からの事前質問に対し、田中屋先生が回答しました。
Q. 「保育士をしています。園に通う子どが一日中ぼーっとしていたり、お昼寝のとき、いびきがすごくて、睡眠が阻害されている感じがします。大人とこどもで対処方法や症状について違いがありますか?またいい解決策はありますか?」
A. 「大人も子供も症状は一緒。睡眠の質が悪いと、成績が上がらなかったり、頻尿でおねしょをしたりもする。原因はそれぞれ違って、骨格や筋力不足や肥満など。子供は扁桃腺が大きいため、アデノイドを引き起こし、その結果無呼吸になるケースも。手術で除去できるから、是非親に伝えて病院へ行かせてあげてほしい。シーパップをつけたら、日中起きれるし、おねしょもなくなった子が実際にいた。」

田中屋真智子医師(独立行政法人国立病院機構 岩国医療センター 循環器内科医長)
田中屋 真智子 医師(独立行政法人国立病院機構 岩国医療センター 循環器内科医長)

最後に天谷さんは、「未来を支えていく世代が元気でいることが大事、そのために睡眠の重要性や、あらゆうる病気に関わる睡眠時無呼吸症候群という病気を知ってほしい」と訴えました。

最後のコメントをする天谷宗一郎さん

※本記事は、主催者である株式会社中国放送のウェブサイトに掲載されたイベントレポートをもとに、一部加筆・修正しています。「睡眠のサインを見逃すな!」市民公開講座(フィリップス・ジャパン協賛)が開催! | IRAW by RCC

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