日中の眠気の裏に潜む
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」
「睡眠に関する調査 2024」
フィリップスで、2024年8月2〜10日にかけて全国2,277人の方にインターネット上で実施した「睡眠に関する調査2024」の結果に関して、前回の『睡眠時間の理想と現実。日本人は睡眠に満足していない』では、睡眠時間、満足度、悩みについてご紹介しました。
そこでは睡眠時間の理想と現実や、男性より女性の方が睡眠について不満や悩みを抱えやすい問題が見えてきました。
今回は、その続きとして、日中の眠気と睡眠時無呼吸症候群についてのアンケート結果をまとめて行きます。
3人に1人が、日中の眠気が「よくある」と回答。睡眠への問題意識がここからも垣間見える
前回の記事では、68%もの人が睡眠に悩みを感じており、その内容は「中途覚醒」や「睡眠時間」に関するものが多いという結果をお伝えしました。特に、中途覚醒が起きると生じやすいのが「日中の眠気」です。
では、日中に眠気を感じる人はどのくらいいるのでしょう。
「よくある」という人は33%。3人に1人の割合と考えると、決して少なくはない結果となりました。そして、「たまにある」という人は54%。半数以上の人が、日中の眠気を経験しているということになります。
睡眠に対する満足感の低さや悩む人の多さなどが、ここからも垣間見えます。
日中の眠気の一因となる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。認知度は95%だが、多くは他人事と捉えている
日中の眠気の原因となるものは多数ありますが、そのひとつして挙げられるものに「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」があります。
睡眠中に呼吸が止まる無呼吸になったり、もしくは浅い・弱いなどの低呼吸になったりする病気で、睡眠の質が低下することにより日中の眠気を招くとされています。日本における潜在患者は約900万人とも言われ、知らずうちに罹患している可能性もあり得る病気のひとつです。
その睡眠時無呼吸症候群についての認知度を聞いてみたところ、95%の人が「はい(病名を聞いたことがある)」と答えています。
しかし、「自身が睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると思うか?」という問いに対しては、62%の人が「いいえ(疑いはない)」と回答していました。
確かに、この病気は肥満体型の人が罹患しやすいと思われがちですが、明らかな症状が見られない場合には、自分が患者であるという疑いさえ持ちにくいかもしれません。しかし、アゴが小さいことなど肥満以外の要因も罹患理由になることがあり、体型に関わらず女性でも子供でも誰もが罹る可能性があります(子供の場合、罹患原因の多くはアデノイドや扁桃肥大になります)。
睡眠時無呼吸症候群は万病のもと
睡眠時無呼吸症候群が突然死を引き起こすことは、一定数に知られているようです。しかし、実はこの病気がさまざまな病気の原因となることは、あまり知られていないかもしれません。
「睡眠時無呼吸症候群が引き起こすリスクとして知っているものは?」という質問に対する答えは下記のようになったのですが、「突然死」以外は大差が付かない結果となりました。
- 高血圧
- 糖尿病
- 心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈など)
- 脳卒中(脳血管疾患)
- メタボリックシンドローム
- 慢性腎臓病
- 動脈硬化 など
これらはすべて、睡眠時無呼吸症候群が引き起こすとされている代表的な合併症です。また、すでにこれらの患者である場合、「睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、寝ているときに病気が進行し、寝ること自体が重篤な疾患のリスクとなる」とも言われていることをご存知でしょうか。
今回のアンケートでは、睡眠時無呼吸症候群に自身が罹っている、もしくは周囲が罹っていると答えた人は、その病名を知っている人の53%もいました。その中で、治療を行っているかという質問に対して「はい(治療を行なっている)」という回答は69%に留まり、25%の人が「いいえ(治療を行なっていない)」という回答となっています。
上述を考慮すると、睡眠時無呼吸症候群自体の発見や適切な治療は、命を守るためにもとても大切な行為にもなるのです。
睡眠時無呼吸症候群の代表的治療法「CPAP(シーパップ)療法」に対するイメージとは
睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療方法として「CPAP(シーパップ)療法」があります。近年では、テレビだけではなく有名人等が自身のSNSなどでも紹介しているため、徐々に認知が広がって来ているのか、今回のアンケートでは47%の人が「知っている(下記アンケートの『はい』)」と回答しました。
しかし、実際に使用していない方から見ると、その治療法への印象は必ずしも良いとは言えない状況が見えて来ました。
まず、「CPAP(シーパップ)療法」とは、持続陽圧呼吸療法のことを指し、装置からホース・鼻マスクを介し、空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにする治療方法です。
現在、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として最も有効性が高いと言われており、高血圧の改善や、心血管疾患のリスクが軽減する可能性も報告されているものです。
「CPAP(シーパップ)療法」について正しく知ろう
今回のアンケートでも、「CPAP(シーパップ)療法」について、大掛かりな装置で機器自体も大きく、装着が大変そうであるとか、息苦しさを感じそうといったネガティブイメージが多く寄せられました。
しかし、この治療法を行うことで、目覚めの悪さや日中の眠気などが驚くほど改善されるというケースも多々あるのが事実です。
機器は持ち運びができるサイズのものも沢山ありますし、空気を機動に送るためのマスクもいくつかの種類があり、患者さんが使いやすい方を選ぶことが可能です。
また、検査を行い一定の基準を満たせば、CPAP(シーパップ)治療は健康保険が適用されます。定期的な外来が必要となって来ますが、その都度、装置やマスクの状態、不調、不具合などを主治医と相談することができ、適切な状態での使用を維持していくことが出来る仕組みになっています。
近年、自費購入可能なCPAP(シーパップ)装置やマスクが出回っているようですが、平均して30万円と高額な購入費がかかる上に、機器の正しい設置・設定やメンテナンス・修理などのサポートも無く全て自分で行わなければならないため、慎重に検討することが必要です。
医療機関で診断されCPAP(シーパップ)治療を実施する場合は、装置はレンタルとなり、月額費用が必要となります。しかし、保険適用で3割や1割負担となるほか、費用の中には診察、機器の保守管理、マスク消耗品供給等の治療に必要となるさまざまなことに対する内容が含まれています。
睡眠時無呼吸症候群が気になったら、まずは簡単セルフチェックを
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